全員が一定数の打席、バントなし。野球離れの中で型破りな中学チーム。
ライター:広尾晃
筆者は少年野球の現場をいろいろ取材している。そこでは多くの指導者が「大会のたびに開会式で行進する子供の列が短くなっている」と嘆く。
とりわけ「野球離れ」が深刻なのは、中学野球だ。
中体連の発表によれば男子軟式野球部員は、2010年には29万1015人だったが、2019年には16万4173人と43%も減少している。サッカー部員も2010年の22万1407人から18万7708人だから15%の減少だが、部員数では逆転されている。
中学校では、これ以外に硬式野球クラブに所属する選手が約5万人、学校外の軟式野球クラブもある。実数こそ明確ではないが、いずれも減少傾向だとされる。
その原因として、少子化、スポーツをする子供の減少、他のスポーツの選択肢が増えたことなども言われているが、中学野球そのものに問題があり、魅力に乏しいことも大きいのではないかと言われる。
昭和の時代と変わらない旧弊な指導、親の負担の重さ、練習時間の長さに試合の多さ、健康面への配慮のなさ。こうした中学野球の「古い体質」が、子どもや保護者に野球を選択させない原因となっていることは否定できない。
リトルシニア、ボーイズに所属せず。
そんな中で、従来の中学野球とは全く異なるタイプの野球チームが生まれている。
「うちは、リトルシニアやボーイズなど、どこの団体にも所属していません。そして硬式球も軟式球も両方使用します」
その名も東京インディペンデンツ。事務局長の杉山剛太は話す。
杉山は少年野球の八幡イーグルスの監督をしている。東京の世田谷区や大田区を中心として活動するこのチームは昨年、「エニタイムフィットネス Presents ベストコーチングアワード2019」でTriple Stars(三ツ星)を受賞している小学生チームだ。指導者として見たときに今の中学野球は問題が多いと考えていた。
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