SMCAの特別顧問でもある古島医師がオンライン取材を受けた内容をまとめました。
トミー・ジョン手術で球速がアップするって本当?専門家・古島医師の答えとは
【教えて!古島先生1】
「Full-Count」では、野球における肩肘の障害を専門とする慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師にオンライン取材を実施。
「教えて!古島先生」と題し、気になる10個の質問をぶつけた。インタビュー動画と合わせてお届けするシリーズ、
第1問は「トミー・ジョン手術をすると球速がアップするって本当ですか?」。
非常に興味深い答えが返ってきた。
新型コロナウイルスの世界的大流行により、野球の各カテゴリーで活動自粛が続いた。
本格的な野球の練習に取り組めなかった選手は多い。
この活動自粛期間が選手、特に小中学生にどのような影響を与えていたのだろうか。
徐々にチームの活動が再開し、子どもたちに笑顔が戻ったが、一方でより強度の高い練習を行うようになり、故障のリスクにも注意を払っておきたいところだ。
日本、そしてメジャーでも多くの投手が直面する肘の怪我。エンゼルスの大谷翔平投手らも経験したトミー・ジョン手術だが、誤った情報が飛び交っている。
古島医師は、その事実に危機感を抱いているという。
それが「トミー・ジョン手術をすれば球速がアップする」という都市伝説のような情報だ。
古島医師は「手術で球速が速くなるわけではない」と断言する。
「手術をすれば専門のリハビリ担当者がついて、1年近く身体の硬い動きや投げ方を修正したりする。
そして、選手もしっかり復帰したいから真面目に頑張るんですよね。
いつもより一生懸命に。
その結果、身体の動かし方やフォームが良くなったので、球が良くなっているだけ。
靱帯を手術して、グラグラしていた靱帯がしっかりしたから球が速くなったというのは違うんですよね」
5年ほど前、米国では野球メディアを対象に「本当にトミー・ジョン手術で球が速くなると信じているか?」という理解度を調べる調査が行われ、全体の約4割が手術によって球が速くなることを信じているという結果が出たという。
出席した学会で、この調査結果を聞いた古島医師は「メディアが間違った報道をしていたんですね」と振り返る。
新型コロナウイルスで開幕が延期となったメジャーでは、今年はここまでレッドソックスのクリス・セール投手、ジャイアンツのタイラー・ビーディ投手、パドレスのアンドレス・ムニョス投手、メッツのノア・シンダーガード投手らがトミー・ジョン手術を受けている。
1人でも多くの選手が故障せずにキャリアを過ごせるよう、まずはジュニア期から肩肘に過度の負担をかけない練習、休養、投球フォームなどについて考察していく必要がありそうだ。
▼動画
トミー・ジョン手術と球速アップの関係は?約700件も担当した日本屈指の執刀医・古島先生が教えてくれた答えとは?
▼引用先URL(Full-Count)