当協会荻野理事のコラムです。
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現在、僕自身、多くの成長期の選手を指導しています。
早い子では、小学生高学年くらいから一気に身長が伸び始めます。
かなり個人差はありますが、その時期が中学生、高校生の選手もいます。
成長期には、成長痛を含め、怪我のリスクが高くなります。
そんな成長期の障害の話です。
僕は、周りの人に比べ、成長が遅かったので、身長が急激に伸びたのは中学生から高校生にかけてでした。
その間に成長痛で苦しんだという記憶はありません。
身長が174センチとあまり高くないので成長痛にならなかったのかもしれません。
鈍感で気がついていないだけかもしれませんが・・・。
急激に身長が伸びると怪我のリスクが高くなります。
なぜかというと、骨と筋肉の成長度合に違いがあるからです。
骨の方が早く伸び、その後に筋肉がそれに追いついていきます。
そのために、骨の長さと筋肉の長さに差が出てしまい、筋肉は普段から引っ張られた状態になります。
筋肉は引っ張られているので、硬くなり、柔軟性が低下します。
そうすると可動域が狭まり、怪我や故障のリスクが高くなります。
それだけでなく、骨自体もまだ未成熟のため、関節付近の骨はまだ軟骨成分が多く、大きな負荷に耐えられません。
競技によって、痛めやすい部分は変わってきますが、どの競技をするのにも注意が必要です。
野球では、肘の故障、肩の故障は多く見られます。
膝や腰、足首を痛めるケースもあります。
骨や筋肉、関節、腱などを痛めやすく、筋肉に骨が引っ張られ、その骨が剥がれ、疲労骨折になってしまうこともあります。
この身長が大きく伸びる成長期は、親や指導者は特に注意が必要で、無理をさせないようにしなければなりません。
僕の感覚では、背の高い選手ほど成長痛になりやすく、痛みを訴えてくることが多いように感じます。
個人差がかなりあるので、練習量や強度を上手くコントロールしながら、個別にメニューを組むことが良いのではないかと思います。
痛みが出ていなくても予防の意識を持ち、ストレッチを多めに行うなどして、成長期に備えることも大切です。
野球は典型的ですが、多くのスポーツが身長の高い方が有利になります。
それなので、身長の伸びが止まるまでは、少しでも身長を伸ばすことができるように努力するべきだと思います。
身体を上に大きくすることは、成長期しかできないことですが、横に大きくすることは、何歳になってからでもできます。
たしかに、野球などのスポーツでは、体重を増やせば、試合で結果を残せる確率は上がると思いますが、優先順位の上にあるのは、身長を伸ばすことだと思います。
体重を増やして、見た目を大きくしても、骨はまだまだ未成熟です。
特に、膝や足首など体重を支えなければならない箇所は、重たい上半身を支えるために、関節痛や疲労骨折を起こす可能性が高まります。
運動、栄養(食事)、休養(睡眠)のバランスを取り、身長を伸ばす努力をするべきというのが僕の考えです。
成長期に起こる障害は、気をつけていても完全になくすことは難しいことです。
もし痛みが出てしまった時は、無理をせずに専門家に診察してもらうことが必要です。
実際に、どのような状態になっているのかを知ることで、より適切なリハビリメニューを組むことができます。
どの程度の休養が必要なのか、どの程度の練習までならしていいのか、このようなことは診察を受けなければ、なかなか判断することができません。
無理して練習や試合に出場させるよりかは、今できることを全力でやる方が、選手のためになると思います。
しっかりとした目標を立て、計画的にトレーニングすることで、早く復帰できるようになるだけでなく、再発防止にもなります。
考えればできることはたくさんあります。
自分の身体と向き合いながらできることを全力で行うことは将来必ず役に立ちます。
成長期には、怪我のリスクは高まりますが、大きく成長できる時期でもあります。
身体も成長しますが、考え方や精神的にも大きく成長します。
成長期という大切な時期を無駄にしないように、大人がブレーキをかけながら、目先のことだけでなく将来を見据えて過ごしてほしいと思います。
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