SMCAの特別顧問でもある古島医師がオンライン取材を受けた内容をまとめました。
子供の肩肘の故障を早期発見できる方法はある?
新型コロナウイルスの世界的大流行に大きな影響を受けた野球界。
開幕が大幅にずれ込んだ日本のプロ野球やメジャーリーグ、
春夏の甲子園が中止となった高校野球、同じく大会が中止となった社会人、
大学生に加え、小中学生もまたチームは一時、活動自粛となっていた。
徐々にチームの活動が再開し、子どもたちに笑顔が戻ったが、
一方でより強度の高い練習を行うようになり、
故障のリスクにも注意を払っておきたいところだ。
そこで「Full-Count」では、野球における肩肘の障害を専門とする
慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師にオンライン取材を実施。
「教えて!古島先生」と題し、気になる10個の質問をぶつけた。
これまでトミー・ジョン手術(肘内側側副靱帯再建手術)を約700件も担当した
日本屈指の執刀医が、分かりやすく教えてくれた答えとは……。
インタビュー動画と合わせてお届けするシリーズ、第7問は
「子どもが感じる肩肘の異変を、親が察知する方法はありますか?」だ。
外出自粛や休校が解除され、子どもたちは徐々に外での活動時間が増えてきた。
これまで自粛されてきた所属チームでの練習も徐々に再開。
元気に白球を追う姿を見せている。
自主練習ではできなかった強度の高い練習が増えることで気を付けたいのが、身体の故障だ。
子どもたちは肩肘に多少の痛みを感じても、監督やコーチに怒られるかもしれない、
練習させてもらえないかもしれないという不安から、なかなか言い出さないケースもある。
それでは、普段そばにいる親が子どもの異変を察知できる方法はあるのだろうか。
古島医師は大前提として「子どもが監督・コーチに痛いと言えないのは、指導者がよくないんですよね」と話す。
「子どもたちが言い出せない状況を作り出している。だから、自由にできていないし、
おそらくその状況では楽しんで野球をやっていないでしょう。辛いとか頑張るとか……。
頑張るのは悪いことではないですが、辛いけど頑張るといったマイナス的な頑張るという状況の中でやっているのかな、と」
子どもたちに前向きな頑張りではなく、悲壮感溢れる頑張りをさせてしまっている指導者には「ついていく必要はないのかなとも思います」と続ける。
「僕が指導者講習で言うことは、そういう考えの指導者の下では子どもは上手くなりません。
好きで練習をしたいとか、もっとこうやったら上手くなるのに、ということができていないので、
ちょっとかわいそうな状況。監督や指導者が上から目線で、ああだこうだ言っているような時代ではなくなると思っています」
そして、親が子どもの異変に気付くには、まず「コミュニケーションを取ること」だと話す。
「痛いか、疲れていないか聞くことです。コミュニケーションを取ることで十分、早期発見できると思います。
痛みが出てくる子どもは、その前に疲れています。練習量が多く、疲れて、食事をしてすぐ寝てしまう。
朝もなかなか起きられない。そういう状況が続いていると、痛くなる可能性は高くなるので、
疲れていないか、痛くないか聞いてあげることが1つです」
また、特に肘の痛みを早期発見するには、可動域のチェックをするといいようだ。
「肘の可動域を左右で比べてあげるといい。痛くなくて伸びが良くない、
曲がりが悪いという場合は、何かあることが多い。そういう状況では、
メディカルチェックをしてもらうとか、野球専門のドクターに相談してみるといいでしょう」
子どもたちの故障を早期発見するポイントは、親、指導者ら大人たちとのコミュニケーションの深さにあるようだ。
▼動画
▼引用先URL(Full-Count)
https:///full-count.jp/2020/06/22/post810057/