ラグビーから学ぶ危険・怪我の回避
当協会荻野理事のコラムです。
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今、ラグビーのワールドカップで盛り上がっていますが、試合を見ていると「痛そう」「怪我しそう」というような感想を持ってしまいます。
それと同時に、怪我を回避するための高度な身体能力を身につけているなぁとも思います。
世界トップクラスのラグビー選手が持つ、危険回避能力は他のスポーツや生きていく中でとても参考になります。
そんな話をしていこうと思います。
現在、多くの子供たちを指導する立場にありますが、そこで思うことが、運動中の危険な場面での自分の身体を守るための身のこなしが上手くできない子が多くいるということです。
転んだ時に、上手く受け身を取ったり、手を出すことができずに顔面を怪我してしまような選手がいます。
前転や後転などをした時に、頭を強打してしまうような選手も多く見ます。
野球のプレーでも、スライディングやデッドボールの回避などを見ても、危険を回避することが上手くないと感じることがあります。
こうした原因のひとつに、幼少期の外遊びの変化が関係しているのではないかと思います。
僕の幼少期にしてきた遊びは、鬼ごっこをしたり、木登りをしたり、崖に登ったり、ドッヂボールをしたり、公園で野球やサッカーをしたりといった遊びをしていました。
今では、公園でボールを使って遊ぶことですら、危険と言われてしまうので、どの遊びも現代では「危ない」と言われるような遊びです。
そんな時代背景もあってか、危険な場面の経験不足により危険回避の基礎的な動きが十分に習得できていないのではないかと感じます。
だからこそ、昔はあまり必要なかった、危険な場面で自分の身体を守ることができる身体能力を身につけるための基礎的な動きづくりや身体づくりもトレーニングをする必要性を感じます。
本来なら、トレーニングよりも遊びを取り戻すことの方が、効果的ではないかと思いますが、現実問題難しそうなので、トレーニングをする必要があるのではないかと思います。
どのような能力を身につけるためのトレーニングをすれば良いのかをラグビーから考えてみたいと思います。
テレビでラグビーワールドカップを見ていると、ラグビーの中には、他の競技や日常生活にもつながる怪我や危険を回避する能力が多く含まれているように感じます。
ラグビーで怪我をするとしたら1番に考えられることが、相手選手からのタックルなど、他のプレーヤーとの接触ではないかと思います。
そこでの接触を回避したり、回避できなくても、準備することで怪我のリスクを減らすことができます。
目で見たり、音や気配を感じ取るなどして仕入れた情報を元に、他のプレーヤーとの位置関係や接触のタイミングを把握することで準備ができます。
そして、それに応じて、切り返したり、加速したり、減速したり、身体をひねったり、タックルに備えて押し返したりと瞬時に状況を判断して行動に移します。
上手く受け身を取ったり、関節を痛めないような倒れ方を瞬時に選択したりもしています。
ラグビーにはボールがあるので、それをボールを見ながら、ボールをキャッチしたり、投げたり、蹴ったりといった判断も同時に行わなければなりません。
タックルを受けてバランスを崩しても、それを立て直す能力も必要です。
柔軟性やしなやかさや相手の力をいなす能力などが欠けると、筋肉や腱の断裂などの怪我だけでなく、慢性的に腰痛や股関節痛、膝痛などにもなります。
当然、ぶつかられたときに怪我をしない、強靭な身体も必要です。
筋力や持久力など基礎体力が欠けると、タックルなどの強い負荷に耐えられずに怪我をしてしまいます。
ワールドカップに出場するような、世界トップクラスのラグビー選手は、様々な状況を瞬時に判断し危険予測をして、身体能力で回避するという能力に優れています。
このような能力を身につけるためのトレーニングをすることは、怪我や危険を回避するだけでなくパフォーマンス向上にも役に立ちます。
いざというときに危険から身体を守るのは、自分自身の危険予知能力と身体能力です。
創造力を働かせ、先を予測し、自ら考え、答えを見つけていくことで養われていきます。
子供の頃から大人が危険をすべて取り除いていては、その能力はなかなか身につけられません。
成長には失敗はつきものです。
失敗をさせないのではなく失敗が致命的なダメージにならないようリスクを減らしてあげ、どんどん失敗できる環境を作ってあげることも必要です。
自分の身体は自分で守ることができる子供に育てていくことが子供のためになるのではないかと思います。
ラグビーを見て感じたことは、ラグビーは怪我と隣り合わせのスポーツですが「選手の危険予知を含めた身体能力」「スポーツパーソンシップに則った行動」「ルール」によって怪我のリスクを減らしていると思いました。
これは他のスポーツにも当てはまることであり、とても参考になります。
選手が自分の身体を常日頃から鍛え、疲労やその時々の体調など現状の状態を把握し、周りはその選手を大切にし、個人を尊重し、それでも危険なことはルールを作り、守るということができれば、怪我を100%防ぐことは難しいですが、かなりリスクを減らすことができると思います。
怪我を予防することは多くの競技の課題でもあります。
他の競技もラグビーから多くのことを学べるのではないかと感じました。
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