疲労ってなに?

当協会荻野理事のコラムです。

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人は生きていく中でどう疲労と付き合っていくのかは重要なことです。

しかし、その疲労とは、とても奥が深くまだまだ分からないことだらけです。

一昔前には、疲労とは乳酸が溜まることであり、疲労回復とは乳酸が減ることであると言われていました。

ランニングメニューをしたりウエートトレーニングをしたときに「疲れた。乳酸が溜まった!」と言ってきましたが、近年では、乳酸が疲労の原因ではないと言われています。

今は、乳酸は疲労を起こすどころか、疲労を抑制する働きがあると言われています。

そんな疲労の話をしてみたいと思います。

 

何をすると疲労をもたらすのか?

疲労度を左右する要因は何なのか?

僕の知る限り、疲労を正確に測ることはできていません。

疲労は多くの場合、複合的な要因で起こります。

運動内容や活動時間、暑さや寒さなどで変わってきます。

性別、年齢、睡眠や食事などの生活習慣、健康状態、などでも疲労度に影響を与えます。

一概に、身体をたくさん動かしているから疲労度が高いというわけではありません。

逆に、身体を多く動かしている人ほど疲労が低く、身体をあまり動かしていない人ほど疲労が高いというのが僕の感覚です。

プロスポーツ選手よりも、サラリーマンの方が疲労しているように感じます。

これは人によって感覚は違うと思いますが、そのくらい疲労を判断することは難しいことだと思っています。

疲労には、筋肉が疲労するような肉体的な疲労と、脳が疲労するような精神的な疲労があります。

肉体的な疲労は、身体活動で求められるエネルギーとそれをこなせる体力のバランスによって生じます。

僕は現在、トレーニングや投球練習をまったくしていないので、少し投げただけでかなりの筋肉痛になってしまいます。

現役時代には、筋肉痛にならないレベルの運動でも今は筋肉痛になってしまいます。

このような筋肉の疲労はトレーニングや投球練習を行い、体力が増せば疲労は生じにくくなります。

 

精神的な疲労とは、人間関係や悩みなどの心理的ストレスによって起こります。

精神的に緊張状態を強いられる環境にいることで疲労を感じます。

自律神経のバランスが乱れることでも起こります。

例えば、忙しすぎて気が休まらないといった量が多い場合やミスできない、よく考えないとできない、といった質が高い場合などでも疲労が溜まっていきます。

自分の思い通りにならないような我慢がストレスとなり疲労を感じるようになることもあります。

 

 

運動や睡眠不足やストレスなどで心身に負担がかかった結果として起こる疲れですが、「疲労」と「疲労感」は違ったりもします。

好きなことをしていたり、成果が出ていたり上手くいっている場合など、頑張って活動してもあまり疲れを感じないことがあります。

夢中になって遊んでいるときや、夢中になって練習しているときはあまり疲れを感じない経験があると思います。

ランニングメニューなどで、多くの選手がゴール前のラストスパート時では多少疲労していてもスピードアップできます。

ゴールを脳が認識することで走るスピードを上げられることから、疲労を感じていても身体が疲労しきっているわけではないということが言えると思います。

このように、「疲労」と「疲労感」が一致しているとは言えない場合もあります。

その時の気持ちや報酬、達成感や集中状態などにより疲労感は変わります。

疲労を感じず活動を継続してしまい、その結果、気がつかない間に、疲れが蓄積し、怪我や故障につながってしまうことがあります。

特に子供は、疲労を上手く言葉にできないので注意が必要になります。

疲労は本人が自覚するかどうかという主観的な問題だけでないことも知っておかなければなりません。

 

「疲労」は超回復を使って、身体を成長させたり、爽快感を得たりと悪いものだけではありません。

心身を休めるようにという自分の身体や脳からのメッセージであり、人間が生き抜いていくために備えている、過度の活動を防ぐ心身の防御機能とも言えます。

疲労と上手く向き合い、どこまでいったら過労なのかを判断することは重要なことです。

「疲労」と過度の疲労である「過労」の境界線は曖昧です。

人によって大きく異なるとも言えると思います。

少なくとも過労を生じることのないように気をつけなければなりません。

過労は、疲労骨折を招いたり、怪我や故障につながります。

精神的な疲労が酷くなれば、うつ症状や引きこもり、過労死につながります。

 

大人や指導者が知っておかなければならないことは、疲労の原因は様々あって、多くの要因がある。疲労は複合的な現象であり、個人差があるということです。

そして、疲労についてわかっていないことが様々あります。

今後、テクノロジーの進化によりいろいろ解明されていくとは思いますが、疲労をどのように見るのかはとても重要なことだと思います。

 

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引用:http://tadahiroogino.com/training/2123/