「球数制限の前に良い投球フォーム」という声に古島医師の見解は? インタビューVol.2

第2回

「球数制限の前に良い投球フォーム」という声に古島医師の見解は?

 

高校野球ドットコムのコラムで取り上げられている記事の一部を抜粋してご紹介させていただきます。

当協会の特別顧問でもある古島弘三先生のインタビュー記事が5回に分かれてアップされていきます。

 

―― 球数制限を反対する方の中には良い投球フォームで投げれば、壊れることはないという意見が見られます。特に投手として実績を残した方ほどその意見は多いです。いかがでしょうか。

古島) 良いフォームで投げればケガしないとかね。それもありますが、それだけではありません。投球数、疲労、投球強度、骨の強さ、もちろんフォームの善し悪しの影響なども考慮しなければなりません。

 

したがって、球数が100球などある数で制限したとしても壊れる投手もいるし、逆に制限しなくても壊れない投手はいます。

ただ100球を基準にするのではなくて、数の制限をかけることで、故障するリスクが減るということが大事なのです。

たとえば120球、100球、70球と減らしていくことで、救われる投手が増えてくるのは当然です。でも逆に50球にしてもケガはゼロにはなりません。試合だけ球数制限してもケガがなくなるわけではない。普段から練習試合も含め練習での投球が多くては意味が無いわけですから。

 

球数制限の意味というのは、もちろん過度な投球数を投げさせないことがケガさせないことに対して一番ですが、もっと深い意味を持っています。それは、指導者の目の向けどころが変わってくれることを期待したいのです。勝利が第一ではなく選手のケガを第一に考えるきっかけになる。野球肘障害をゼロにできないのは仕方ないのですが、それでも球数制限で最大多数の最大幸福(つまりケガを最大に減らすことで多くの選手にチャンスを!)を追い求めていかないといけないと思うんです。

無制限だと6割~7割の選手が痛める可能性がありますよ、100球にしたらそれが5割になりますよ、70球80球にしたらそれが3割になりますよ、といった場合、そういうことでいかにケガ人を減らすかということを考えたら、球数制限は少ないに越したことはない。
その中から、ケガすることなく生き残った人たちで争うわけですから、競争のレベルも高くなるわけです。『消えた天才』みたいなああいう良い選手が潰れるというものが無くなって、もっと凄い選手たちの中で争いが起こって、さらにプロのレベルも上がるかもしれない。メジャーに行ける選手も増えるかもしれない。もっと面白くなると思います。

その下の世代でどんどん良い選手を潰してるわけだから、現在の野球界はふるいの穴が大きすぎるんです。

 

他のインタビューに関しては以下サイトをご覧ください。

https://www.hb-nippon.com/column/2034-seigen/13962-seigen2019081402